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A dog and street lamps

夕飯の匂いを追いかけて

この電柱からあの電柱まで

​てくてくてく

巷で開かれるバイバイ大声選手権

僕は塀の隅っこで尻尾をフリフリして

近くの店からは野球のラジオ実況が

聞こえ始める

商店街の向こうから

友達の子供が吠えている

三軒隣のお家からは

同じぐらいの声量で

中に入れずに泣き叫ぶ声、というか

いつもの騒音が

聞こえる

人間の言葉は大抵理解できるが

こればっかりは何を言っているのか

今でもさっぱりわからない

唯一ママの「バイバイ」は

今日イチでかかった

平均台にして遊んでいた電線の影が消えていく

街の灯りが点き始め

スポットライトに照らされた僕は

​ご主人様に見つかる

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