もうすぐクリスマスがやって来る。
やわらかな雪が降る街で、子供たちは大きな赤い靴下を見つめながら、サンタクロースへ手紙を書いている。願い事が叶うように家のお手伝いをして、しばらく良い子になる。
街中に魔法がかかる夜、
出勤前のサンタクロースは一人、貧しかった自身の子供時代を思い出す。
夢を描いた紙は暖炉の火に燃やされ、家事をしないと食事を抜きにされてしまう厳格な家庭だった。
冬のある朝、目覚めると外は白銀の世界に様変っていた。幼き日のサンタクロースは驚いた。何とも自分が描いた絵と全く同じ景色が、目の前に広がっていたからだ。
夢中になって雪遊びをしていたサンタクロースは、門限をきっぱり忘れてしまい夜遅くまで帰らなかった。当然重い罰を受けることとなり、それは想像以上に、子供ながらでさえも血の味を飲む程、恐ろしくて怖いものであった。
その日の夜空には、六花が散っていた……
聖夜の贈り物には魔力が宿るようだ。今年もサンタクロースは子供の喜ぶ笑顔を楽しみにしながらも、遊びすぎないようにと願う。
慎重にプレゼントを置いて……
ほつれた服の糸を落として。
コメント