top of page

furniture

雨に濡れたスーパーの手紙を取ると

プリントされていた広告がテーブルの上に付いた


これを見て、ふっと思った。

ここにあるテーブルは、僕が小学生の頃からあって、

たくさんの落書きや油性ペンの跡などが残っている。


横にあるイスも傷付き、革が剥がれている。

周りを見渡せば、

火に焼けて焦げたままの壁

墨汁の薄黒さが残っている洗面所

たまたま破いてしまった畳の障子

重たいものを落としてへこんだ床

あちこちに今日までの時間が記録されていた。


知らぬ間に―、

おそらくこれからも何か印付けていくだろう

いつか、その時の瞬間を思い出す為に


家具は英語で“furniture”という。

よく見れば、その中に“future”がある。

共に過ごし、見守られているからこそ

ときに八つ当たりして傷付けるかもしれない


今はまだ綺麗なfurniture

どんな将来を歩んで行き、

どんな痕を残すだろう。

帰る場所が此処にある。

Comments


bottom of page