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傷Art

これは、あの時ついた傷跡

何十年経った今も残っている

痛かった日々が

記憶が

よみがえる


無意識の隙を狙って

悪魔が引っ掻いた爪痕

けれど今は

笑って語れる話のタネ


努力の旅の途中だった

彫刻は何度も刃で削られて

最高の美を晒し出す

私は欠けた結晶

それは“人間”という生物である証


時が過ぎ、茶色に錆びてく血の固まり

剥がれ落ち、薄くなっても

深みをつけた溝は元に戻らない


美しく、愛おしい傷Art

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