cynical world
here we stand in ravishing rain
joy is like pain
it feels like a miracle
you can't turn back, you're in chains
never again
return from a cynical world
if you feel you've loved me in vain
why not re-live your guilty love affairs
in the warm breeze you will cry
again and again
that's fate for a criminal
good intentions lost in thin air
you were craving for affection
and a certain invitation
led you here to me in the cynical world
no one but me, in this cold place
I will love and serve you, criminal
that's your final consolation
now hang on to me, in the cynical world
私達は雨の中に立っている
喜びは痛みのよう
奇跡のようだと感じている
貴方は囚われ人で
この冷たい世界からどうしても逃れる事は出来ない
愛の虚しさに嘆くのなら
貴方の罪深い愛を辿ってごらん
暖かい風の中で貴方は幾たびも泣くでしょう
それが罪人の定め
息苦しさに善意は失われ
貴方は必死になって愛を探していた
招かれた貴方は私の側に
この皮肉な世界へと来たのでした
この寒い場所には私だけしかいないの
貴方にキスと奉仕を捧げましょう
最後の慰めがここにある
だから貴方はこの冷たい世界で
ただ私にしがみつくのでした
words
ravishing 非常に美しい、うっとりさせる cynical 皮肉な re-live (想像によって)追体験する、再び経験する
love affair (不倫の)情事 criminal 罪人 intention 意志、意向 crave 渇望する affection 愛情
certain 確かな invitation 招待
この曲はとても詩らしい歌だなぁと思いました。英語だけを読んでも楽しいし、日本語の訳し方も上手だなと感じます。
まず詩的に味わうと、韻を踏んでいるのが印象的です。rain / pain / chain(s) / again / vainと結構たくさん最初から韻を踏んでおり、意味を見ても重たい・辛いイメージの語が並び、痛みや哀しみを強調しているようです。繰り返しagainが出ているのもその世界観や感情の厚さ・濃さが感じられます。
歌詞を見ていて面白いのが第2連。1連目のmiracleとcynicalが対照的に捉えられるのを前提に、日本語訳も優しい口調でオブラートに包んでいますが直訳すると「特に何の感情も無く愛していたなら、罪な不倫でもしていればいいじゃない。(相手の元で?)後悔して何度でも泣けばいいわ」になって、その後のthin airを息苦しさ、cravingを必死になって探すと訳しているのも、youのダメっぷりが滑稽に書かれています。
後半にも韻が効果的に使われています。intention / affectionと正気に戻った単語たちは私にinvitation(招待)され最後にconsolation(慰め)を受ける。良いイメージの単語が余韻を残して最後のconsolationに微かな輝きを残すというような感じがあります。
最後のcriminalと呼びかけているのも詩的に上手い!と感じるポイントで、タイトルにあるcynical、その対照的なmiracle、最後のチャンスと言わんばかりのfinalが響き合っているのも l の音が呼応して感じ取れます。この4語がこの曲の世界観を表す語だと言っても良いかもしれません。
では歌詞の内容はどうなのか見てみましょう。第1連を見ると雨が降っていますが美しい雨。喜びは痛みのようとありますがこれは恋の病?そして恋に落ちた事が奇跡だと言っているように見れます。you can't turn back, you're in chains / never again / return from a cynical worldは私の心の中から出る事は出来ない。私の心に縛られて、私の世界から逃れる事は出来ない。
ところでcynicalという単語ですが、この言葉が使われている意図はどこか“してはいけない恋”的なスキャンダラスさを感じます。または“こんなバカな人を愛してしまう私って…”という反省・成長できてない自分自身とか。
2連、3連はyouのダメっぷりと先述しましたが、もしかしたら“こんなに愛せるのは私しかいない”という暗示的な意味かもしれません。強すぎる愛情が歌になってしまった歌。みたいな。
だとするととても一方的な・勝手な想像による歌という事ですが、それも正解とも思えます。
youをダメ人間と見るか、私の片思いの人と見るか。
好きな人を罪人と呼ぶのなら、愛が罪であり、皮肉であり冷たいというのは、どういう意味なのでしょうか?最後にしがみつくしかないというのは、それしかできないというのはどういう事なのでしょうか?(しかもこれは現実ではなく私の心の中での空想の話だとすれば…)何か世の中に対するメッセージや不満が込められた歌詞のようにも見えてきます。
(criminal、cynical、coldと c の言葉が並ぶのも詩的であり、それに伴ってconsolationの本来の意味が示されている気も…。無きにしも非ず。)